2021.01.21 の日記:空間を満たす話

これの話をする.

元ネタ(パクリ元)は,M. C. エッシャーの《Cubic space division》というリトグラフ(版画の一種).

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エッシャーの公式サイトのデジタル展示だと《Cubis space division》になってるけど,誤字だろうか.

2 年半前に上野の森美術館でやっていたミラクエッシャー展に行ったときに知った作品.エッシャーといえば不可能立体や平面の無限分割で有名だけど,こういうのも描くんだと驚いた.あと貝も描いている.しかもイモガイ.手法の都合で左右反転するので左巻きになっている.

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他の有名な作品と違って構造の不思議さや予想外さはほとんどないと言っていい.ただ単純な立方体と柱が単純立方格子を構成しているだけだ.ぶっちゃけ,見てもあんまり面白い作品ではないと思う(面白いと思う人ごめん).たぶん,ただ純粋に空間を満たしたい欲求から生まれた作品だと思う.作ると面白い作品.正確に言うと他の作品の多くも同じく,空間(あるいは平面)を満たしたい欲求から生まれているけど,他の作品は見た目を綺麗にする工夫にもそこそこの比重が置かれているのに対して,この《Cubic space division》はそもそもが美しい空間充填をそのまま描いただけという印象がある.だからこそこの作品からは空間を満たしたいという欲求が直に感じられる……気がする.これを工夫したのが以下の《Depth》.エッシャー感のある魚がめっちゃ並んでる.

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単純な空間充填は僕が知る限りこの 2 つしか知らないんだけど,やっぱり 3 次元は難しいんだろうか.エッシャーはかなり専門的な結晶学の知識があったらしいので,数学的にはやろうと思えば何かしらできたと思うけど,見せ方が難しいよねぇ......

(明日の日記へ続く)