2021.02.08 の日記:【プレスリリース】ゲノムと形態の複合解析が明らかにするおでんの進化的起源

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発表概要

現生種の phylogenomics と化石種を含めた分岐分析を複合した解析によって,食べ物の deep phylogeny と多様性の変遷を明らかにした.


・主食形類 Syushokomorpha は従来の形態による分岐分析の結果と同じく単系統群をなす.

・従来の発生学的な視点では,大学イモ類 Digakuimoidea はその異常に手間のかかる調理過程からおやつ類 Oyatsia の中の特殊化したグループとして分類されていたが,今回の結果からおやつとおかず形類 Okaziformes の分岐以前に独立した起源の古い分類群であることが明らかになった.同時に,現生の大学イモ類と非常に似た形態を持つがその非常に古い化石記録から独立の系統とされることもあった偽大学イモ類 Pseudodaigakuimoidea が,やはり大学イモ類の一部であることが確認された.化石記録から復元した多様性の変遷によると大学イモ類の衰退とおやつ類の多様化のタイミングが一致することから,大学イモ類が占めていた生態学的ニッチを奪うかたちでおやつ類が放散していったことが示唆される.

・従来,おやつ類はスイーツ類 Sweetia と姉妹群を形成すると考えられてきたが,おやつ類が側系統群であることが明らかになったため,従来のおやつ類とスイーツ類を含むかたちで汎おやつ類 Panoyatia を新しく定義した.

・おでん類 Odenidae は微妙に白米と合わないというおかず形類 Okaziformes とつまみ形類 Tsumamiformes の中間的な特徴を持つことから長い間その系統的位置に統一的な見解が存在せず,おでんがおかずかつまみかについて激しい論争が続いてきた.本研究の解析結果では,つまみ形類は多系統群となり,酒類と共生する生態がおかず系統内から独立に何度も進化してきたことが初めて明らかになった.すなわちつまみ形類は解体されることとなり,おでんはおかずであることが結論づけられる.


発表雑誌:Nature Discommunications
タイトル:A new hybrid method reveals the evolutionary origin of Oden