2021.07.20 の日記:昔、某という人が言うことには「世の中の仕組みは難しすぎる」~著作権についてのアレコレ。俺の穴を見つけてくれ~

今日の日記は長くなるので目次をば

ゲーム画面のスクショ

ガイドライン

あとから日記を見返そうとしたときにタイトルから内容がすぐに思い出せるように、できるだけ各日記にそれぞれ1枚ずつサムネになる画像を貼るように心がけているが最近は全然貼れてなかった。オクトパストラベラーの感想書くときにゲーム画面のスクショ (馬から落馬) とか貼れれば良かったんだけど撮ってなかったしな。Switchのスクショ、共有するのが面倒なんだよな。Steam版やればよかった。

あとゲームのスクショとかは公式が著作権関係のあり方を明記してくれているので、その通りにすれば気を揉まなくていいという利点がある。

参考:生配信及び動画・画像投稿に関するガイドライン | OCTOPATH TRAVELER(オクトパストラベラー) | SQUARE ENIX

これ、ゲーム画面のスクショや録画を使うときはこのルールに従ってくれという決まりごとが書いてあるのだけど、著作権法的に正しく引用していてれば必ずしもこの決まりに従わなくてもいいはずだよな。まあ画像はともかくゲーム実況とかをこのガイドラインに従わずにかつ合法的に行うのはほぼ不可能だが。ガイドラインというのは引用を条件付きで限界突破させるようなものである。

研究発表における引用

図の改変はアリ?

ずっと勘違いしていたけど、著作物の改変ってほとんどの場合でアウトなんだな。研究発表で「~より改変」「adapted from ~」とかよく使われてるけどあれは著作者の許可をとってないと本当は違法になるということだよな。何度か罪を犯している気がする。それか僕が気づいていない何かしらの法律で合法化されている? (合法化されていた:後述)

研究や大学教育の場において適切な引用が求められているのは科学的な裏付けを示す意味と著作権的な意味の2種類があるわけだけど、その2種類を明確に区別して認識しないといけない。

関連する著作権法

著作権的な意味を考えるとセミナーでの研究発表は「教育機関における複製等(第35条)」「営利を目的としない上演等(第38条)」が該当しそうなので引用の明記は必須ではないような気がする。本当に教育目的なのか、とか授業料を払っているので営利目的なのでは、とか疑問はあるが。

参考:著作物が自由に使える場合 | 文化庁

調べてみると「営利を目的としない上演等(第38条)」は上映は認めるけど複製については認めていないのでパワポに論文の図を貼るのはダメっぽい。論文のpdfファイルをpdfビューワーで見せるのはたぶん大丈夫。

教育機関における複製等(第35条)」については、オンライン授業で著作物を利用するときの補償金を管理するSARTRAS (サートラス) という組織が決めているガイドラインが詳しくて、セミナーでの研究発表は明確にこれに該当する。

参考:
授業目的公衆送信補償金制度とは | 一般社団法人 授業目的公衆送信補償金等管理協会
新型コロナウイルス感染症の拡大を受けた「授業目的公衆送信補償金制度」の早期施行について(要請) | 東京大学

それによるとセミナーで引用ではなく著作物を複製・送信することはある程度自由に行うことができるらしい。文化庁のWebサイトによると著作物の変形も許されるので図の改変はこれで保証されているっぽい。

学術的な慣例としての引用

慣例をぶちこわせ

すなわちセミナーでの研究発表で引用を行うのは著作権的な問題ではなくて学術的な慣例として行っていることになる。目的としてはおそらく、引用先が自分の考えや図ではなく先行研究の中で裏付けられていることを示すこと・具体的な引用先を伝えること、の2つであろう。

1つめの目的のためには別にhoge et al. (20XX)という形式をとる必要はない。

・ネコは一般的にかわいいとされている (hoge et al., 20XX)

ではなく

・昔、ある研究者が言っていました……「ネコは一般的にかわいいとされている」

でも良い。

引用元を書いても書かなくてもその情報の信頼性は変わらない (引用元を捏造してしまえば同じ) ので引用は必ずしも必要ない (暴論)。あくまで1つめの目的は出典を示すことではなくて該当の文章や図がどこからか引用されているという事実だけを伝えることであるから。引用先の文献を知らない人にとってはhoge et al. (20XX)と言われてもふ~んとしか思わない。

そこで引用元をわかるように明記することで、捏造していないこと、あるいは発表者が引用元を誤って解釈していないことを確認する、というのが2つめの目的である。しかし長くても1分程度で切り替わってしまうスライド中で出典を明記することは難しい。フルで出典を書いても視聴者は1分以内に発表を聞きながら同時にメモをとらなければならない。発表の最後の出典をまとめたスライドを出しても質疑応答までの数分間をそこで停止する必要がある。

引用のススメ

そこで現実的には論文などでの著作権的な慣例に従ってhoge et al. (20XX)というかたちで引用して詳細な出典情報は書かないことでその文献を知っている人にだけわかるくらいの情報を書く。引用元を知らない人にとってはフルの出典を書かれても把握が難しいし、既に知っている人にとってはhoge et al. (20XX)だけで十分なのでフルの出典は必要ない。やるとしたらフルの出典を書いたスライドあるいはフルの出典をまとめた別の資料を配布するのが望ましい。あるいはフルの出典が載ったスライドのスクショを許可するとか。

引用する文献がマイナーすぎてセミナーの誰も把握していない場合を考えよう。その場合はスライド中でhoge et al. (20XX)というかたちで引用することは無意味である。スライド中では対象の記述や図がどこかしらから引用されている事実だけを述べれば良い。フルの出典は配布資料で伝えることにしよう。スライド中では「昔の偉い人[通し番号]はこんなことを言いました『~~~』」で統一する。

いやまあ学術的な慣例に従いましょうね……それが科学なので……

でも図の引用の明記は必ずしも必要ではないと思うんだよな。論文の図ではない画像のコピーライトは少なくとも必要ない。1枚目のスライドによくあるイメージ図みたいなやつとか。

まあ著作者への敬意を示すためにコピーライトはちゃんと書いたほうがいいというのは法律とかではなく別の論点として正しいので特別な事情がなければコピーライトはちゃんと書こう。

フランダースの穴

「ごらん、パトラッシュ。論理の穴だよ」

改めて条文読んだら、引用は複製等の範疇に入らないから発表中で他人の著作物を使用するときは必ず適切に引用しなきゃいけないような気がしてきた。さっきまで引用は複製等に含まれていて「引用 (32条)」は複製等が許可されていないときも条件付きで引用だけはできる、という認識だったけど複製等が許可されていてもいなくても引用するときは全て「引用(32条)」が適用される気もする。

今までの話ぜ~んぶ間違いか。

アニメでは「ごらん、パトラッシュ」とは言っていない

でも「第三款 著作権に含まれる権利の種類 (リンク先:著作権法 | e-Gov法令検索)」を見ると引用に関して著作者が持つ権利は複製権だけであり、引用それ自体を行う権利は設定されていない。翻案権に引用が入るかどうかは問題だけど翻案の具体例を考えると入らないような気がする。この解釈に従うと複製が許可された時点でそれ以上の引用に関する権利は著作者にないので、適切な方法でなくても引用を行うことができることになる。これまでの話は間違いではなかった。

少なくとも学内のセミナーでの研究発表では適切な方法でなくても自由に引用を行うことができる、著作権法的には。

……冷静に考えてそんなはずはないのでどこかに穴があるんだろうが。どこだ~穴~。

俺の話を信じるな

というかインターネットを信じるな

著作権については、まあ法律を文字通りに解釈してもあまり意味がないので、界隈の作法に従っておけば問題ないというのが答えな気がする。

法律の素人が法律についてテキトーに考えた内容を日記で公開するの害が大きいのでやめたほうがいい。インターネットのダメなところ。