2021.07.22 の日記:刺胞動物を調べている場合ではない

今日も写真の供養。

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久々に科博に行った。ミイラ展の会期中であったがそちらはまた今度。

久々に、と書いたけど調べたらこの日の2週間前にも科博に来ていた。全然久々ではなかった。その2回の来訪の前にはしばらく行っていなかったので久々ということにしてください。

プロブレマティカ。後でちゃんと調べようと思って写真を撮った。まだちゃんと調べていない。こういうの結局忘れちゃう。

調べるぞ!

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コニュラリア類。リン酸カルシウムなんだ。へ~。

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Sendino, C., & Bochmann, M. M. (2021). An exceptionally preserved conulariid from Ordovician erratics of Northern European Lowlands. PalZ, 95(1), 71-84.
https://doi.org/10.1007/s12542-020-00534-7

今年の論文を見つけた。ただひたすらに保存の良いコニュラリア。詳しいことはわからないけど綺麗な化石を見るとそれだけで楽しいね。

てかこの論文では鉢虫綱Scyphozoaに分類されてるな。マジか。

というか刺胞動物の系統が綱レベルでもまだ諸説あるっぽいので、刺胞動物内の絶滅した分類群の系統的位置の研究している人は大変だな。

参考 (刺胞動物内の系統関係):Kayal et al. (2018). Phylogenomics provides a robust topology of the major cnidarian lineages and insights on the origins of key organismal traits. BMC evolutionary biology, 18(1), 1-18. https://doi.org/10.1186/s12862-018-1142-0


十文字クラゲ綱Staurozoa、2004年にできたらしくてウケる。いやまあ十文字クラゲ目が他のどの綱にも含まれないのはもっと昔から言われていて、2004年にまあそろそろ……という感じでリンネ式の階級分類との整合性を考えて、現生では十文字クラゲ目1目だけを含む綱として十文字クラゲ綱が設立されたっぽい。そのときはコニュラリア類は十文字クラゲ目とかなり近縁で姉妹群を形成して十文字クラゲ綱を構成するという考えだったらしい。面白いのは十文字クラゲ類は昔は鉢虫綱に含まれると考えられていたけど、そこから分離してコニュラリア類と一緒に綱を形成するようになり、今度はコニュラリア類が分離して鉢虫綱に含まれるようになったという歴史がある。

まあでも結局系統的位置はよくわからないというのが実際っぽい。時代がかなり古いので混乱するのはさもありなんという感じである。Medusozoa (クラゲとヒドラ) のポリプの古い化石がもっと見つかればわかるのだろうか。

参考 (刺胞動物内の系統関係 (分岐分析!);十文字クラゲ綱の設立):Marques & Collins (2004). Cladistic analysis of Medusozoa and cnidarian evolution. Invertebrate Biology, 123(1), 23-42. https://doi.org/10.1111/j.1744-7410.2004.tb00139.x


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羽サンゴ。Plumalina属。

コニュラリア類と比べて文献が少ないけど、最近の論文だとヒドロ虫綱Hydrozoaに分類されがちっぽい。

参考 (羽サンゴの形態解析;ヒドロ虫綱のPlumularioidea (知らんがな) に分類している):Muscente & Allmon (2013). Revision of the hydroid Plumalina Hall, 1858 in the Silurian and Devonian of New York. Journal of Paleontology, 87(4), 710-725. https://doi.org/10.1666/12-125

Wikipediaプロブレマティカ (リンク先:Wikipedia) の代表例として写真載ってるじゃん。誇らしいな。

というか展示ではウミエラ説が有力と書いてあるけどウミエラ説を推してる論文まったく見つからない……。探し方悪いのか。これもしかして刺胞動物の高次分類が変わりまくってるから、当時ウミエラに分類されていた何かしらの分類群との類似性が指摘されていたけど分類が変わってウミエラが全然関係なくなったということもあるのか。

調べてたら面白い論文を見つけた。

Waggoner & Collins (2004). Reductio ad absurdum: testing the evolutionary relationships of Ediacaran and Paleozoic problematic fossils using molecular divergence dates. Journal of Paleontology, 78(1), 51-61. https://doi.org/10.1666/0022-3360(2004)078<0051:RAATTE>2.0.CO;2

ある化石が特定のクレードに属すると仮定したときにそれをもって分子系統樹キャリブレーションして他の分岐年代の整合性を見ることで仮説を棄却できる。例えばエディアカラ動物のある種はヒドロ虫綱のChondrophora (ギンカクラゲとか;今は無効名でありPorpitidaeが使われている) との類似性が指摘されているが、エディアカラ紀にChondrophoraが既にいたとして分子系統樹キャリブレーションすると刺胞動物門の分岐が15億年以上前 (本文のアブストではタイポで1.5兆年以上前になっててめちゃウケる) になってしまい明らかにおかしいので仮説は棄却されるというわけ。一方でエディアカラ紀にウミエラ目Pennatulaceaや鉢虫綱Scyphozoaがいたと仮定しても刺胞動物門の分岐は8-10億年前となり整合的である。まあChondrophoraは科相当のクレードなのでそれはそうだろという感じであるが……

よく見たらこの論文の著者、十文字クラゲ綱設立した人と同じじゃん。


今更感があるけど、「なんとか類Nantoka」と書くときはなんとか類=Nantokaで「なんとか類のNantoka」と書くときはなんとか類の下位分類がNantokaとしている。

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めちゃくちゃ疲れたので残りはまた後日調べよう……それか誰か調べてくれ……

↓残り

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