分岐分析の結果
— a (@a151595) 2021年5月6日
・~クリームに至る系統で一回だけドーナツの穴が二次的に消失した
・ハニーチュロは特殊化したドーナツ
・ポン・デ属は解体したほうがいい
(ドーナツの写真はミスド公式サイトから) pic.twitter.com/Dmh7mkGYyt
これの話の続き。
ツイートではドーナツの穴の消失について述べている。この系統樹を信頼するならばまあそうなる。エンゼルクリームとカスタードクリームが単系統群を形成しており、二次的に穴が消失したように見える。
しかし待ってほしい。全てのドーナツの穴は本当に相同なのだろうか。昨日の日記で述べたように解析にはミスドの文化的な系譜を推定する意図はなく、ドーナツを生物に見立てたときのifの系統樹を推定するというのが目的であった。文化的にはドーナツの穴はたぶん単一起源であり、全てのドーナツの穴は相同である。しかし、ドーナツを生物として見たときにその穴は相同だろうか。
現状でドーナツの穴の相同性を考える場合、その発生プロセスを比較するのが無難であろう。ドーナツの穴の形成として考えられる発生プロセスは大きく3つの可能性に分けられるだろう。
1. まずは細長い生地の両端を結合させて輪をつくるやり方である。これは実際の生物で例えると神経管の形成に近い (断面を見たときのプロセスが近いだけでトポロジー的にはたぶん全然違う。神経管の形成の端ってどうなってるの?)。
2. 次に複数の生地を輪状に繋げて穴をつくるやり方である。一応1つ目と分けてあるが、もしかしたら分類としては1つ目に含まれるかもしれない。実際の生物では脊椎動物の頭蓋骨において複数の骨で囲まれた穴の発生がかなり近い、側頭窓とか (でももしかしてかなり初期に穴になる場所で何かの遺伝子発現が阻害されて将来の穴ができてたりする?でも閉じた穴であることの強い機能はないような気がするのである程度骨化して初めて結果として閉じた穴になるのが自然なような気がするけどわからない。いやでも強度的な面で閉じてないといけないような気がするので発生のかなり早いステージを見ないと判断できないような気もする。そこまで考えると穴の相同性というより穴とは何かという問題になってしまう。ちゃんと癒合した骨で囲まれた閉じた穴を穴の定義とすればまあ良いかな。)。
3. そして最後に平らな生地の中央に穴を開けるやり方である。原腸形成。
神経管も脊椎動物も原腸形成も詳しくないので間違ったことを言ってたらすみません。←責任から逃れている。本当は正しいと確信が持てるまで調べてから書かないといけない。
調べてたらこういう動画と記事が出てきた。
ポン・デ・リングの亜種みたいなやつ (軽々しく亜種という言葉を使うな!恥を知れ!) の製造の様子。
関連した他の動画や記事も参考にすると (著作権を侵害してそうだったのでここには載せない)、ほとんどのドーナツはこのプロセスで作られているらしい。フレンチクルーラーとかオールドファッションとかもパーツを付け替えることで同じ装置で作れるそうである。スゲー。
発生プロセスは上の1でも2でも3でもなかった。でもハニーチュロだけは1で作られているらしい (それはそうか)。
動画からは装置の内部構造はわからないけど、おそらくこうであろうと内部を想像して、ポン・デ・リングの発生過程を推定するとこうなる。
ほとんどトポロジーだけを再現した模式図。ポリプから出芽してクラゲになる刺胞動物っぽい。
一応、上で書いた2に近いけどそれは想像した内部構造に依存するので不確かである。とりあえず1ではないことは確か。
結局何もわからん。同じ装置を使っているのでドーナツの穴は相同ということでいいのか?
(続く)