最近初めて RealityCapture (フォトグラメトリーのソフト)を使ってみた.スゴイ.計算がめちゃくちゃ速い.さらに他のソフトと比べて 3D メッシュ構築が圧倒的に精度が良い.被写体の細い場所が切れたりとか逆に余計な構造が出来てしまったりすることがほとんどない.これはスゴイですよ奥さん.......フォトグラメトリーのソフトなんてどれもそんなに変わらないだろうと思っていたけど,そんなことはなかった.各ソフトで構築した 3D モデルの画像とか貼って比較すればわかりやすいけど面倒なのでやらない.でもテキトーに撮った写真 100 枚程度からホネガイの棘一本一本がはっきり見える 3D モデルが出来上がるのはかなりの感動ですよ奥さん.
写真のアラインメントが不十分で半分くらいの枚数しか使えてないのにこのクオリティ.右側で縦に伸びている棒とか渦を巻いているものとかは標本を物理的に固定するために使った小物であってアーティファクトではない.
Meshroom だと棘が再現できなくて,Metashapeだと余計な構造物も構築されてしまう.Metashape のほうはマスク画像作れば解決するんだけど,ホネガイの背景除去したマスク画像は死んでも作りたくないので実質無理と言っていい.先日,ホネガイ(の仲間?)の背景除去をする機会があったけど 1 枚だけでもめちゃくちゃしんどかったので 100 枚オーダーでやるのは本当に無理だと思う.まあ死ぬくらいならやるけど.アッキガイ科の研究者は大変そう.
ただ RealityCapture が他のソフトの上位互換というわけではなくて,画像のアラインメントにちょっとクセがあって上手くいかないことが多いように感じる.特に貝殻については,ホネガイのような複雑な形態の影響でメッシュ構築が困難な種類よりは,表面の色彩や質感にクセがあって写真のアラインメントが困難な種類のほうが多い印象なので,RealityCapture だけでは上手く構築できないことが多い.イモガイ,お前のことだよ.
参考までに周りでよく使われてるソフトで各プロセスの性能を比較するとこうなる.
写真のアラインメント:
Metashape > Meshroom > RealityCapture
メッシュ構築:
RealityCapture > Meshroom > Metashape
計算時間:
RealityCapture > Metashape > Meshroom
一長一短という感じ.
撮る対象によって最適なソフトが全然違うので地道に試していきましょうね.たぶん貝の中でも分類群によって何が最適かが異なる.
まあ僕は今までのほとんどのデータを Meshroom で作ってしまったのでこの先も Meshroom を使い続けると思う.あと Meshroom はフリーソフトなのでそれだけで使う理由になる.研究にはできるだけフリーソフトを使ったほうが良いという考えはわりと好き.