ゲームの感想。
ネタバレを含みます。
「Inscryption」
ローグライクカードゲームADV。かなり面白い。
一時期めちゃくちゃ話題になっていたのでやってみた。話題になるだけある。
ここ1,2年で意識的にメタフィクション性の強いゲームを選んでプレイするようにしてきた
2021.10.17 の日記:次元削減に気をつけろ - ぬるぬるバイオマット日記
メタフィクション要素のあるゲームをやろうキャンペーンの一部である。
序盤のカードゲームがまずそれだけでかなり面白い。簡単すぎず難しすぎず。回を重ねるごとに強くなるタイプのローグライクなので、時間をかければクリアはできる。一部異常に強いカードがあるけど、それはそれでカードゲームらしさでもあるのでよい。マンティスゴッド。
全体のストーリー構成が理屈で構成されていてよい。階層構造がすごい。単純なメタフィクションよりも階層が深い。ストーリーを把握し終わったときの、階層の一番下から上まで一気に理屈が組み上がっていく感覚がよい。
カードゲームへの愛の描写がよい。それぞれのキャラクターが自身の作ったカードゲームに絶対の自信を持ってプレイヤーに遊ばせようとしてきて、その言動からカードゲームはこうあるべきだという信条が感じられる。誇りとか拘りをもって何かを作っている人はかっこいい。全員それぞれ異なった信条を持っているけど、みんな共通してゲーム後に握手を求めてくるのはかなり感動した。こんなの感動しちゃうよね。愛とメタフィクションの相性がよすぎる。
ゲームの中で様々なタイプのカードゲームをプレイすることになるけど、これまでの人生で遊戯王とかデュエマとかMtGとかいろいろなTCGをかじってきたときのことを思い出した。
メタフィクションやカードゲームをテーマにしていて完成度も高く、どうあがいても僕が好きなタイプのゲームで実際に好きなのだけど、あるべき程度ほど好きになれていない気がする。人生で一番好きなゲームになってもいいはずだけど、実際は思ったより冷めている。なんでだろう。あまりに綺麗にまとまりすぎているからだろうか (とはいえメタフィクションとして現実とのつなぎ込みが少し矛盾しているけど)。あるいはストーリーはともかくゲームとしての面白さが結末に近づくにつれ尻すぼみになってしまっていたからだろうか。後者な気がする。プレイしている途中で、まだあるのか…と一瞬思ってしまったので少し冷めてしまっていたのだと思う。レシーともっと遊んでいたかった。もっともレシーともっと遊んでいたかった気持ちがあるからこそこのゲーム全体のストーリーに意味が生まれるという面もあるのでそんな単純な話ではない。まあ、本来より「相対的に」好きになれていないだけで、異常に面白いゲームであることは間違いない。
こういうゲームにおけるゲーム性の面白さは難しいところで、けっこう昔にNieR:Automata (おそらくそういうタイプのゲーム) を買って何回もプレイを始めてはゲーム性が合わなくて途中で挫折するということを繰り返してエンディングにたどり着けずにいる (難易度とかではなく何かが合わず気分が乗らない) ので、もはやゲーム性は限りなく薄くてもいいのかもしれない。ドキドキ文芸部!もそういう方向だし。
好き度&オススメ度
横軸をオススメ度と表記してきたけど、正確に言うと万人受けする度かもしれない。軸を左に行くほど人を選ぶが、オススメしないわけではない。人を選んでオススメする。
サムネ用