2021.09.19 の日記:即日心酔OK!簡単申し込み

(昨日の続き)

少女終末旅行の話をします。

印象に残った話の感想。


4巻あとがき

「マクロすぎる視点は、あんまり人を幸せにはしないのかもしれない」

流石いいことを言う。


あんまり一つの対象に心酔しすぎるのは良くないと思っていて、普段の生活で何かを好きになる気持ちに心のブレーキを踏んでいるような感じがある (ある程度無意識に)。そうすることで飽きることなくそれをずっと好きでいられるし、他の多くのものも同時に好きになれている気がする。それはこの作品・作者も例外ではなくて、めちゃくちゃいい表現とかめちゃくちゃいい言葉があっても、絶対に良いものだとは盲信せずに疑うところから始めてじわりじわりと身を浸している。しかし、そうしようとはしているけど、あまりに良くてノータイムで心酔しそうになる。


5巻 35話「美術」(以下未アニメ化)

特に書くべきことはないけど、良かった。SFと日常系の両方の良さが相乗している。

こういう体験をしてみたかった。


5巻 39話「忘却」

やっぱりこの忘却が救いという感覚がよくわからない。次の40話「故郷」で描かれてるように忘却によって初めて生じる感覚があって、僕にとってはそれが救いであるという感覚はあるのでそういうことなのかなと一瞬思ったけど、その感覚が救いなわけではなく忘却そのものが救いであるというのが作者の書いているところなので結局よくわからない。

嫌なことを忘れたりとか、忘却が救いになることはあるけど、忘却がなかったら他に救いはないのかと問われたらそれもまた違うような気がする。


6巻 43話「図書」

最終話を除いて一番好きな話。最終話は作品全体を踏まえた上での感想になるので、話としては実質一番好きな話。感想を書くのが嫌になるほどに好きな話。

でっかい図書館という存在は当然魅力的なので、古今東西様々な創作物に登場する。僕が知ってるだけでもバベルの図書館とかワンピースのオハラ図書館とかドラクエ11の古代図書館とか。その中でも少女終末旅行におけるでっかい図書館の扱いは良い。人間が総体としてアイデアや知識を蓄積していくことを肯定しているわけではなく (素晴らしいことではある)、個々の目的のない営みの結果としてただ存在するものとして書かれている。もう世界には2人しか人間がいないから、ほぼ全ての本が二度と読まれることがないけど、もっと大きな流れの中で2人の個の営みにつながって流れていく。そのつながりには因果関係も何もないけど、それらが全て集まってひとつの大きな流れを形成している。

たぶんだけどレイ・ブラッドベリ「発電所」に時間の流れを加えたような感覚に近い。今、わかりにくいものをもっとわかりにくいもので喩えている。

サムネ用


(続く、続く)