2021.10.02 の日記:最終夜 ギャルに囲まれ虐められて興奮する夢

(昨日の日記の続き)

CAUTION
今日の日記は門外漢が雰囲気で調べ考えたことなので各自が必要に応じてファクトチェックをしたうえで解釈してください。あとたぶんかなりわかりにくい文章になっているので、いつの日かわかりやすく書き直します。
よろしくね


今日は昨日とはまた別の非可算集合について。

問3.1「自然数全体のべき集合から無作為に1つ選んだときにその要素数が偶数である確率は?」

べき集合とは、部分集合全体の集合のこと。\(\{1\},\{100\},\{3,5\},\{6,7,8,9,10\}\) などの、好きな数だけ自然数を選んで作ったあらゆる集合から無作為に1つ選んだときに、選んだ集合の元の数が偶数である確率を求めよという問題である。

2日前の「自然数から1つ選んだときに偶数である確率は?」という問題に似ている (よね?)。同じように、直感的に \(1/2\) と思いきや問題の不備でそういう確率は定義できないのだろうか。

実は、自然数全体のべき集合は非可算集合なので、各要素が確率\(0\)で選ばれるような確率を定義することができる。それでは昨日の「0以上1以下の実数から1つ選んだときに小数第1位が偶数である確率は?」という問題と同様に考えることができるだろうか?しかし今日扱っている集合は実数の集合ではないので、確率密度関数および一様分布のようなものを自然に導入することは難しい。

ゆえに、自然数全体のべき集合から無作為に1つ選ぶ方法は無数に存在するが、それら無数の方法の中から最も自然なものを一つ選ぶこともできず、求める確率は任意の値に設定できそうである。

ところが、ちゃんと考えると実はそうはならない。確かめていこう。


まず、自然数全体のべき集合のうち要素数が偶数である集合全体の集合は可算集合である。

証明:
べき集合の要素であるそれぞれの集合を、含まれる自然数を \(k\) として小数第 \(k\) 位が \(1\) で他が \(0\) となる \(0\) 以上 \(1\) 以下の \(2\) 進数の実数と対応させる。例えば、
\(\{1\} \rightarrow 0.1\)
\(\{6\} \rightarrow 0.000001\)
\(\{3,4\} \rightarrow 0.0011\)
\(\{1,3,5\} \rightarrow 0.10101\)
となる。
このとき要素数が偶数の集合は小数に \(1\) が偶数回登場する実数に対応し、分母が10の累乗の分数として表せるのでそれは有理数である。 例えば、
\(\{3,4\} \rightarrow 0.0011 \rightarrow 11/10000\)
となる。
この要素数が偶数の集合から有理数 (全体) への対応関係は単射であり、要素数が偶数の集合は可算集合である有理数の集合と集合の濃度が同じかあるいはより小さいが、可算集合は無限集合の最小濃度であるので、すなわち自然数全体のべき集合のうち要素数が偶数である集合は可算集合である。

求める確率、すなわち自然数全体のべき集合から無作為に1つ選んだときにその要素数が偶数である確率を \(\alpha\) とする。

\(\alpha>0\) と仮定すると、要素数が偶数である集合 (可算集合) が選ばれた場合の条件付き確率を考えることができる。しかし、この条件付き確率は2日前の日記で扱った、可算集合から無作為に1つ選ぶ確率と同じであり、2日前に紹介したようにそれは不可能である。よって \(\alpha=0\) であることがわかる。

これは直感に反するように思える。要素数が偶数である集合が選ばれる確率が \(0\) ならば要素数が奇数である集合が選ばれる確率も \(0\) であることが予想され (実際そう)、じゃあいったい何が選ばれるんだと考えてしまう。

答えは単純で、要素数が無限である集合のほうがずっと多く存在するから、要素数が偶数の集合や要素数が奇数の集合はほとんど確実に選ばれないのである。

2日前の例と対比させると、
自然数全体の集合の要素は無限個存在するが、それぞれの要素は有限の数値である。
自然数全体のべき集合の要素も無限個存在するが、それぞれの要素は有限個の数値を含む集合や無限個の数値を含む集合である。

という違いがあり、自然数における偶数を自然数のべき集合における要素数が偶数の集合と同じように扱ってはいけない (ただしちょっとこれはアレで、このときの偶数と要素数が偶数の集合の間には全単射の関係が存在し、真に違いがあるのは自然数とそのべき集合の濃度である)。

そもそもの出題を2日前の例に寄せてミスリードを誘っており (誘われたかは知らないが)、

問3.2「自然数全体のべき集合から無作為に1つ選んだときにその要素数が『有限』である確率は?」

のように問題を設定していたら、ほとんどの人があまり迷わず答えを予想できるだろう。


さて、それでは改めて、自然数全体のべき集合から無作為に1つ選んだときにその要素数が偶数である確率はいくつだろうか?

答えは「0」である。


以上、3日間に渡ってお送りしました。

(終わり)