2021.01.16 の日記:キョウザメの卵 続

二つの封筒のパラドックスの文章を振り返る続き.

花子と太郎の会話だけでパラドックスの内容を説明するのは悪手だったかもしれない.図とか入れるべきだった.でも図の構成を考えるのは文章より自由度高くて難しい.テキトーにつくるとよりわかりづらくなるかもしれないので,まあこれで良かった気もする.

地味なところだが2人の名前をどうするかにかなり時間を費やした.それっぽくてセンスある名前にしようと考えていたけど結局花子と太郎に逃げてしまった.思考停止して花子と太郎にするのはもうやめよう.ちなみに本名は西園寺花子と神宮寺太郎で,西園寺花子は強めの頻度主義者です.

人の恋路を邪魔する奴および異なる考え方を提案するだけでパラドックスを解決したつもりになる奴は馬に蹴られて死ぬがいい

このクソどうでもいい都々逸もどうでもいいわりに時間をかけてしまった.「人の恋路を邪魔する奴は馬に蹴られて死ぬがいい」ってどのくらいの知名度かわからなくて,どこまでオマージュしていいのか判断が難しかった.無難に元の文を全て入れつつ要素を追加する言い方になったけど,くどいよねぇ.「および」が不自然な言い方だけど,「と」にすると「異なる」との結びつきが強すぎて文全体の構成がわかりづらくなるから妥協してしまった.語彙力がない.「あ~~~(語彙力)」みたいなツイートはそもそも言語化できない感情を表現しようとしているので本質的には語彙力の問題ではない,みたいな意見をどこかで見たことがあってなるほどと思ったけど,上の都々逸の場合は書きたい対象がすごく明確なのでこちらのほうが「(語彙力)」という感じだ.「人の恋路を邪魔する奴および異なる考え方を提案するだけでパラドックスを解決したつもりになる奴は馬に蹴られて死ぬがいい(語彙力)」.

語彙力ある人ならもっとわかりやすくスマートに書けるのかな.かなり限定された同じ対象を人がどう表現するか気になる.大喜利で誰かが回答のアイデアを思いついたらそれを皆で共有して,それぞれが違う文章違う言い方で同じ意味合いの回答する番組見たいな.笑いの哲学みたいなのが浮き彫りになって面白そう.

確率と期待値は,試行を”たくさん”したときに収束する値のことである.つまり,太郎さんが最初に \(x\) 円を選んだ世界を”たくさん”考えると,そのうち半分の世界ではもう片方の袋に \(x/2\) 円が,もう半分の世界では \(2x\) 円が入っている.それぞれの世界で袋を選びなおすと, \(x/2\) を得た世界と \(2x\) を得た世界が同じ数だけあることになる.
$$\color{#999999}{\frac{x}{2}} \color{#000000}{\leftarrow} \color{#cccccc}{x}\color{#000000}{\rightarrow} \color{#999999}{2x}$$これだけではやはり袋を選びなおしたほうが得である.今, \((x/2,x)\) のペアと \((x,2x)\) のペアが花子さんに選ばれた世界のうち,太郎さんが \(x\) 円を選んだ世界を見ている.

この辺の話,わかりにくいよな.わかりやすく伝えることを放棄している自覚がある.ただ,僕が確率を考えるときはこういう感覚的なイメージをすることが多いので僕の思考をトレースしてもらいたいと思ってこうした.この辺りの議論は4,5年前に僕が実際に考えていたことで,学科部屋のホワイトボードを使って友達に話して意見をもらったりしていた.意見をもらったというか僕がしゃべりたくてただしゃべっていただけのような気もするが.こういう話を雑談として日常的にしたいねぇ……

この左右の矢印を使った表現は,一般的にこういう表記が使われているわけではないのできちんと説明すべきなんだけど,説明が面倒なのと,書いていた当時はわかりにくさに気づかなくてこのまま公開してしまった.自分だけがわかる記号でわかりにくい話を説明するの最悪だな.これも図を使って説明すべきだったな.まあこのへんの議論は本文で結局棄却されるので,最悪読まなくてもいい.ただ実際棄却していいのかは結構微妙なところで確率論に詳しい人に教えてもらいたい.お客様の中に確率論に詳しい方はいらっしゃいますか!確率がわからなくて苦しんでるお客様がいるんです!

花子「そう,ずいぶん曖昧な議論に聞こえるけれど.それで納得したのならいいでしょう」

花子さんも議論が曖昧だと言っている.

(明日の日記へ続く)