2021.07.31 の日記:宇宙汎種説の「種」とはイーストのこと

これの話の続き。

ミスド公式Webサイトで過去の毎年の新商品を創業から現在まで欠けなく公開している (ただし日本での事業に限るが)。すごい。かなり連続した化石記録である 。

(過去の記録まで参照し出すと文化的な系譜の話なのか生物としての系統の話なのかコンセプトが曖昧になってしまうのだが……)

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1971年|なつかしのメニュー|商品情報|ミスタードーナツ

これが日本に進出した最初の1971年のメニューである。伝統分類における主要なグループはこの時点でほとんど登場している。フレンチクルーラーはこの2年後の1973年に、そしてオールドファッションがそのさらに2年後の1975年に登場する。

オールドファッション、全然オールドではない。伝統分類の敗北。いやまあミスドに限らないドーナツ全体の系譜を考えたらオールドではあるのだが今はそういう話ではないのでね……。

クラウングループのポン・デ・リングは2003年にようやく登場するのだが、1979年にクリンクルという形が似たドーナツが登場している。

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味や食感はポン・デ・リングと違いそうだが、もしかしたらステムのポン・デ・リングなのかもしれない。外形だけが収斂している可能性の大きいが。


さて、いろいろ言ってきたわけだがひとつ重要なことがある。少なくとも日本のミスドだけを考えると、ミスドの最終共通祖先は存在しない。複数の系統が独立にそして同時に進化したのだ。


ミスド型生物が反映する惑星では生命の起源が科学上の大きな謎となっている。ドーナツたちには形態的な類似性が存在し単一の起源がある可能性が高いが、化石記録からは惑星の形成直後から多様なドーナツが存在していたことがわかっている。従来の通説としては、初期の特異な環境下で通常ではあり得ない速度での放散が起こったという説明がなされており、あるいは少数派ではあるがドーナツの複数起源説も古くから一部の研究グループから支持されてきた。

しかし近年、とある仮説が注目を集めつつある。パンスペルミア仮説、つまりドーナツたちの起源は他の天体にあり、ある時期に複数の系統が隕石に付着して同時に飛来したという説である。こちらの説のほうがドーナツの多様化速度をよく説明できる。しかし魅力的な仮説である一方で実証が極めて難しい。

そこで国際的な超大規模プロジェクトが10年前から動いている。ミスドと同じ起源を持つドーナツが他天体に存在することを直接観測することを目的とした惑星探査プロジェクトである。航行に必要な工学技術員はもちろん、各分野の生物学者言語学者、地質学者を乗せてドーナツのいそうな惑星へ向かう巨大調査船が作られた。目指すは異星ドーナツとの直接的な接触である。

生物学史上最大の謎の解決を掛けて2年前に出発した調査船は、まもなく到着する。目的地、惑星ダンキンへと……

(続く)