2021.10.12 の日記:北陸旅行AnotherEnd - Chapter2 空想貝類学

北陸旅行の攻略記事。

1日目の続き

10:30頃、富山駅着。

駅前のレンタカー屋で車を借りて出発。

富山市街は路面電車が……、おっと失礼、チンチン電車が走っている。チンチン電車が。そう、チンチン電車が走っている。何を隠そうチンチン電車が走っている。チンチン電車の何を隠すことがあろうか。チンチン電車が路上を走っている。チンチン電車が路上を。お嬢さん見てご覧なさい、チンチン電車が路上を走っていますよ。チンチン電車があんなに人を乗せて。


路面電車関係の道交法を完全に忘れていてちょっと焦った。安全地帯に歩行者がいる場合は徐行しなければならない。チンチン電車でひと騒ぎしている場合ではなかった。

google map

富山市科学博物館

螺旋の企画展が見たくて来たけど、この博物館自体元々気になってもいた。Webページを見るとけっこうしっかり研究活動や標本のデータベース化に力を入れているように見えて、数年前からずっと訪ねてみたかった。



「土曜日はカップル無料♡」

うるせぇ~~~


「窓口でお申し出ください」ってわりとハードルが高そう。あのぅ、カップルなんですけど……って言い出すのめちゃくちゃ恥ずかしい気がする。

これはアレですね。割引のために恋人のフリをしてよと幼馴染にお願いして来たはいいけどいざ窓口でカップルなんですけど…って言ったら急に恥ずかしくなっちゃってなんかいい感じになってアララララという展開ですね。


みなさんも狂人割引を見たら僕を誘ってください。狂人のフリをしに行くので。



地史・古生物のコーナー。岩石と恐竜と貝がメイン。

展示パネルはちょっと情報が古いところもあったけど、面白いところがわかりやすく説明されていてよかった。



恐竜関係の展示がそこそこ多い。

壁にプロジェクターで動画を投影している関係で展示室がめちゃくちゃ暗く (特に入って奥の右側)、恐竜関係の標本がかなり見えづらい。写真だとあまり暗いようには見えないけど、化石表面の凹凸が一切見えず輪郭しか見えないくらいではあった。平日で人がほとんどいなかったので節電とかしていたのかもしれない。



2Fに上がって自然科学全般のコーナー。地学よりこちらに多めのリソースを使っている感じがあった。



ダイヤモンドダスト発生装置。
キレイだね~。

君のほうがキレイだよ。

ヤダ……///


ダイヤモンドダストというとなんとなく北海道の平野のイメージがあったけど、富山の山岳で見れることもあるらしいね。

君のほうが富山の山岳で見れるよ。

ヤダ……///



雲のシアター。

台風の形成から消滅までを映像と実演?で学べる。

たぶん“実演”は実際の気象学的なダイナミクスを再現したものではなくて、雰囲気を再現したものだと思うけど (違ったら本当にごめんなさい)、なんかすごかったし、ちょっと怖いくらいだった。

この科学博物館には物理や化学とか様々な分野の学芸員がいるらしいけど、その恩恵か富山の自然のジオラマ展示の横にこういう気象学みたいな異分野の展示がブチ込まれて良い (本当にそういう理由かは知らないけど)。



ギフチョウのいろいろな個体。模様の変異とか。いい標本展示だ。

チョウの話ではないけど、貝の話をしていて「よく見ると1個体1個体模様が違いますよね」と言われたときにどういう意味で言っているのかわからなくて反応に困ることが少なくない。わからなくて困るというより、どういう意味なのかどうやって聞けばうまく伝わるのか未だによくわからなくて困っている。

初期値鋭敏性による多様性、成長途中の摂動による多様性、モデルパラメーター (拡散係数など) の違いに相当する多様性、モデルパラメーターの違いによる分岐に由来する多様性 (これはだいぶ限られそう)、あるいは模様生成外の貝殻成長などの違いに由来する多様性 (例えば模様形成は一定のリズムで行われるけど、貝殻成長速度にめちゃくちゃ変異がある場合など) などがあって、これらの要素のうちの1つだけが反映された多様性が直接見えるわけでもなく (たとえ着目した1つの要素以外が固定されているとしても順問題も逆問題も直感的には解けない!)、その辺の複雑な模様形成の話のどこからどこまでを理解しているものとして、何を話せばいいのかかなり難しい。まあこれは模様に限らずある程度込み入った現象に共通した話か。

いやまあカオス理論ですよねの一言で済ましたい話ではあるけど (済まない)、そもそも相手が形態形成の文脈で話をしていない場合がある気がする。実はけっこう最近までこの可能性に思い至っていなくてわりとヤバいのだけど、模様形成の根本のダイナミクスに変異がありそうなアサリやヒメカノコなどの種内の模様の多様性の場合は機能の話ができそうだし、そもそも特定の文脈を想定していない場合もある。ただ単純に違いますよねと言いたいだけのことが実際は多いのかもしれない。



www.youtube.com


調べたら柳田理科雄がアサリの貝殻模様の多様性を説明する動画が出てきた。

動画のメインの主張ではないような気がするけど、「遺伝や環境の違いが模様にハッキリ現れやすいような発生システムである (好意的な意訳)」と説明していた。確かにこのくらいの説明が無難な気がしてきた。

でもこの説明だと模様に違いがあること自体は説明できるけど、ひとつとして同じ模様が存在しないこと (アサリの場合は模様によっては細部まで同じと言い切っていいような個体もいる気がするけど) の説明は不十分である (ひとつとして同じ環境が存在しないから模様もそれぞれ異なると考えることはできそうだけど、おそらく外部環境が完全に同じだったとしても全ての模様が異なる結果になる)。だからカオス理論の話をしなければいけない。というかその前にゆらぎの話をしないといけないような気がするけど不勉強なのでできない。

この話は終わりです。



富山県の貝。



めっちゃ魚いる!と思ってよく見たらほとんど絵だった。



プレデターの顔っぽい。

(To Be Continued...)